生物多様性条約

第16条 技術の取得の機会及び移転


1.締約国は、技術にはバイオテクノロジーを含むこと並びに締約国間の技術の取得の機会の提供及び移転がこの条約の目的を達成するための不可欠の要素であることを認識し、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある技術又は環境に著しい損害を与えることなく遺伝資源を利用する技術について、他の締約国に対する取得の機会の提供及び移転をこの条の規定に従って行い又はより円滑なものにすることを約束する。
2.開発途上国に対する1の技術の取得の機会の提供及び移転については、公正で最も有利な条件(相互に合意する場合には、緩和されたかつ特恵的な条件を含む。)の下に、必要な場合には第20条及び第21条の規定に基づいて設ける資金供与の制度に従って、これらを行い又はより円滑なものにする。特許権その他の知的所有権によって保護される技術の取得の機会の提供及び移転については、当該知的所有権の十分かつ有効な保護を承認し及びそのような保護と両立する条件で行う。この2の規定は、3から5までの規定と両立するように適用する。
3.締約国は、遺伝資源を利用する技術(特許権その他の知的所有権によって保護される技術を含む。)について、当該遺伝資源を提供する締約国(特に開発途上国)が、相互に合意する条件で、その取得の機会を与えられ及び移転を受けられるようにするため、必要な場合には第20条及び第21条の規定の適用により、国際法に従い並びに4及び5の規定と両立するような形で、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。
4.締約国は、開発途上国の政府機関及び民間部門の双方の利益のために自国の民間部門が1の技術の取得の機会の提供、共同開発及び移転をより円滑なものにするよう、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとり、これに関し、1から3までに規定する義務を遵守する。
5.締約国は、特許権その他の知的所有権がこの条約の実施に影響を及ぼす可能性があることを認識し、そのような知的所有権がこの条約の目的を助長しかつこれに反しないことを確保するため、国内法令及び国際法に従って協力する。


第17条 情報の交換

1.締約国は、開発途上国の特別のニーズを考慮して、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連する公に入手可能なすべての情報源からの情報の交換を円滑にする。
2.1に規定する情報の交換には、技術的、科学的及び社会経済的な研究の成果の交換を含むものとし、また、訓練計画、調査計画、専門知識、原住民が有する知識及び伝統的な知識に関する情報並びに前条1の技術と結び付いたこれらの情報の交換を含む。また、実行可能な場合には、情報の還元も含む。


第18条 技術上及び科学上の協力

1.締約国は、必要な場合には適当な国際機関及び国内の機関を通じ、生物の多様性の保全及び持続可能な利用の分野における国際的な技術上及び科学上の協力を促進する。
2.締約国は、この条約の実施に当たり、特に自国の政策の立案及び実施を通じ、他の締約国(特に開発途上国)との技術上及び科学上の協力を促進する。この協力の促進に当たっては、人的資源の開発及び組織の整備という手段によって、各国の能力を開発し及び強化することに特別の考慮を払うべきである。
3.締約国会議は、その第1回会合において、技術上及び科学上の協力を促進し及び円滑にするために情報の交換の仕組みを確立する方法について決定する。
4.締約国は、この条約の目的を達成するため、自国の法令及び政策に従い、技術(原住民が有する技術及び伝統的な技術を含む。)の開発及び利用についての協力の方法を開発し並びにそのような協力を奨励する。このため、締約国は、また、人材の養成及び専門家の交流についての協力を促進する。
5.締約国は、相互の合意を条件として、この条約の目的に関連のある技術の開発のための共同研究計画の作成及び合弁事業の設立を促進する。


第19条 バイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分

1.締約国は、バイオテクノロジーの研究のために遺伝資源を提供する締約国(特に開発途上国)の当該研究の活動への効果的な参加(実行可能な場合には当該遺伝資源を提供する締約国における参加)を促進するため、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。
2.締約国は、他の締約国(特に開発途上国)が提供する遺伝資源を基礎とするバイオテクノロジーから生ずる成果及び利益について、当該他の締約国が公正かつ衡平な条件で優先的に取得する機会を与えられることを促進し及び推進するため、あらゆる実行可能な措置をとる。その取得の機会は、相互に合意する条件で与えられる。
3.締約国は、バイオテクノロジーにより改変された生物であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるものについて、その安全な移送、取扱い及び利用の分野における適当な手続(特に事前の情報に基づく合意についての規定を含むもの)を定める議定書の必要性及び態様について検討する。
4.締約国は、3に規定する生物の取扱いについての自国の規則(利用及び安全に係るもの)並びに当該生物が及ぼす可能性のある悪影響に関する入手可能な情報を当該生物が導入される締約国に提供する。その提供は、直接に又は自国の管轄の下にある自然人若しくは法人で当該生物を提供するものに要求することにより、行う。


第20条 資金

1.締約国は、その能力に応じ、自国の計画及び優先度に従い、この条約の目的を達成するための各国の活動に関して財政的に支援し及び奨励することを約束する。
2.先進締約国は、開発途上締約国が、この条約に基づく義務を履行するための措置の実施に要するすべての合意された増加費用を負担すること及びこの条約の適用から利益を得ることを可能にするため、新規のかつ追加的な資金を供与する。その増加費用は、締約国会議が立案する政策、戦略、計画の優先度、適格性の基準及び増加費用の一覧表に従い、開発途上締約国と次条に規定する制度的組織との間で合意される。先進締約国以外の締約国(市場経済への移行の過程にある国を含む。)は、先進締約国の義務を任意に負うことができる。この条の規定の適用のため、締約国会議は、その第1回会合において、先進締約国及び先進締約国の義務を任意に負うその他の締約国の一覧表を作成する。締約国会議は、定期的に当該一覧表を検討し、必要に応じて改正する。その他の国及び資金源からの任意の拠出も奨励される。これらの約束は、資金の妥当性、予測可能性及び即応性が必要であること並びに当該一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要であることを考慮して履行する。
3.先進締約国は、また、二国間の及び地域的その他の多数国間の経路を通じて、この条約の実施に関連する資金を供与することができるものとし、開発途上締約国は、これを利用することができる。
4.開発途上締約国によるこの条約に基づく約束の効果的な履行の程度は、先進締約国によるこの条約に基づく資金及び技術の移転に関する約束の効果的な履行に依存しており、経済及び社会の開発並びに貧困の撲滅が開発途上締約国にとって最優先の事項であるという事実が十分に考慮される。
5.締約国は、資金供与及び技術の移転に関する行動をとるに当たり、後発開発途上国の特定のニーズ及び特別な状況を十分に考慮に入れる。
6.締約国は、開発途上締約国(特に島嶼国)における生物の多様性への依存並びに生物の多様性の分布及び所在から生ずる特別な事情も考慮に入れる。
7.開発途上国(特に、環境上最も害を受けやすいもの、例えば、乾燥地帯、半乾燥地帯、沿岸地域及び山岳地域を有するもの)の特別な状況も考慮に入れる。


第21条 資金供与の制度

1.この条約の目的のため、贈与又は緩和された条件により開発途上締約国に資金を供与するための制度を設けるものとし、その制度の基本的な事項は、この条に定める。この条約の目的のため、当該制度は、締約国会議の管理及び指導の下に機能し、締約国会議に対して責任を負う。当該制度は、締約国会議がその第1回会合において決定する制度的組織によって運営する。この条約の目的のため、締約国会議は、第1文の資金の利用(その機会の提供を含む。)についての政策、戦略、計画の優先度及び適格性の基準を決定する。拠出については、締約国会議が定期的に決定する必要な資金の額に基づき、前条に規定する資金の予測可能性、妥当性及び即応性が必要であること並びに同条2に規定する一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要であることを考慮に入れる。先進締約国その他の国及び資金源から任意の拠出を行うこともできる。当該制度は、民主的で透明な管理の仕組みの下で運営する。
2.締約国会議は、この条約の目的を達成するため、その第1回会合において、資金の利用(その機会の提供を含む。)についての政策、戦略及び計画の優先度並びに適格性の詳細な基準及び指針に関する決定(資金の利用を定期的に監視し及び評価することについてのものを含む。)を行う。締約国会議は、資金供与の制度の運営を委託された制度的組織との協議の後、1の規定を実施するための取決めを決定する。
3.締約国会議は、この条約の効力発生の日から少なくとも2年を経過した日及びその後は定期的に、この条の規定に基づいて設けられる制度の有効性(2の基準及び指針の有効性を含む。)について検討するものとし、その検討に基づき、必要に応じ、当該制度の有効性を高めるために適当な措置をとる。
4.締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のための資金を供与するため、既存の資金供与の制度を強化することについて検討する。


第22条 他の国際条約との関係

1.この条約の規定は、現行の国際協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。ただし、当該締約国の権利の行使及び義務の履行が生物の多様性に重大な損害又は脅威を与える場合は、この限りでない。
2.締約国は、海洋環境に関しては、海洋法に基づく国家の権利及び義務に適合するようこの条約を実施する。


第23条 締約国会議

1.この条約により締約国会議を設置する。締約国会議の第1回会合は、国際連合環境計画事務局長がこの条約の効力発生の後1年以内に招集する。その後は、締約国会議の通常会合は、第1回会合において決定する一定の間隔で開催する。
2.締約国会議の特別会合は、締約国会議が必要と認めるとき又はいずれかの締約国から書面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に通報した後6箇月以内に締約国の少なくとも3分の1がその要請を支持するときに開催する。
3.締約国会議は、締約国会議及び締約国会議が設置する補助機関の手続規則並びに事務局の予算を規律する財政規則をコンセンサス方式により合意し及び採択する。締約国会議は、通常会合において、次の通常会合までの会計期間の予算を採択する。
4.締約国会議は、この条約の実施状況を常時検討し、このため、次のことを行う。
(a) 第26条の規定に従って提出される情報の送付のための形式及び間隔を決定すること並びにそのような情報及び補助機関により提出される報告を検討すること。
(b) 第25条の規定に従って提供される生物の多様性に関する科学上及び技術上の助言を検討すること。
(c) 必要に応じ、第28条の規定に基づいて議定書を検討し及び採択すること。
(d) 必要に応じ、第29条及び第30条の規定に基づいてこの条約及びその附属書の改正を検討し及び採択すること。
(e) 議定書及びその附属書の改正を検討すること並びに改正が決定された場合には、当該議定書の締約国に対し当該改正を採択するよう勧告すること。
(f) 必要に応じ、第30条の規定に基づいてこの条約の追加附属書を検討し及び採択すること。
(g) 特に科学上及び技術上の助言を行うため、この条約の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。
(h) この条約が対象とする事項を扱っている他の条約の執行機関との間の協力の適切な形態を設定するため、事務局を通じ、当該執行機関と連絡をとること。
(i) この条約の実施から得られる経験に照らして、この条約の目的の達成のために必要な追加的行動を検討し及びとること。
5.国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びにこの条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある分野において認められた団体又は機関(政府又は民間のもののいずれであるかを問わない。)であって、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の3分の1以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席については、締約国会議が採択する手続規則に従う。


第24条 事務局

1.この条約により事務局を設置する。事務局は、次の任務を遂行する。
(a) 前条に規定する締約国会議の会合を準備し及びその会合のための役務を提供すること。
(b) 議定書により課された任務を遂行すること。
(c) この条約に基づく任務の遂行に関する報告書を作成し及びその報告書を締約国会議に提出すること。
(d) 他の関係国際機関との調整を行うこと。特に、その任務の効果的な遂行のために必要な事務的な及び契約上の取決めを行うこと。
(e) その他締約国会議が決定する任務を遂行すること。
2.締約国会議は、その第1回通常会合において、この条約に基づく事務局の任務を遂行する意思を表明した能力を有する既存の国際機関の中から事務局を指定する。


第25条 科学上及び技術上の助言に関する補助機関

1.この条約により科学上及び技術上の助言に関する補助機関を設置する。補助機関は、締約国会議及び適当な場合には他の補助機関に対し、この条約の実施に関連する時宜を得た助言を提供する。補助機関は、すべての締約国による参加のために開放するものとし、学際的な性格を有する。補助機関は、関連する専門分野に関する知識を十分に有している政府の代表者により構成する。補助機関は、その活動のすべての側面に関して、締約国会議に対し定期的に報告を行う。
2.1の補助機関は、締約国会議の管理の下に、その指針に従い及びその要請により、次のことを行う。
(a) 生物の多様性の状況に関する科学的及び技術的な評価を行うこと。
(b) この条約の規定に従ってとられる各種の措置の影響に関する科学的及び技術的な評価のための準備を行うこと。
(c) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある革新的な、効率的な及び最新の技術及びノウハウを特定すること並びにこれらの技術の開発又は移転を促進する方法及び手段に関する助言を行うこと。
(d) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての科学的な計画並びに研究及び開発における国際協力に関する助言を行うこと。
(e) 締約国会議及びその補助機関からの科学、技術及び方法論に関する質問に回答すること。
3.1の補助機関の任務、権限、組織及び運営については、締約国会議が更に定めることができる。


第26条 報告

締約国は、締約国会議が決定する一定の間隔で、この条約を実施するためにとった措置及びこの条約の目的を達成する上での当該措置の効果に関する報告書を締約国会議に提出する。


第27条 紛争の解決

1.この条約の解釈又は適用に関して締約国間で紛争が生じた場合には、紛争当事国は、交渉により紛争の解決に努める。
2.紛争当事国は、交渉により合意に達することができなかった場合には、第三者によるあっせん又は仲介を共同して求めることができる。
3.いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、1又は2の規定により解決することができなかった紛争について、次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的なものとして受け入れることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。
(a) 附属書Ⅱ第1部に規定する手続による仲裁
(b) 国際司法裁判所への紛争の付託
4.紛争は、紛争当事国が3の規定に従って同一の紛争解決手段を受け入れている場合を除くほか、当該紛争当事国が別段の合意をしない限り、附属書Ⅱ第2部の規定により調停に付する。
5.この条の規定は、別段の定めがある議定書を除くほか、すべての議定書について準用する。


第28条 議定書の採択

1.締約国は、この条約の議定書の作成及び採択について協力する。
2.議定書は、締約国会議の会合において採択する。
3.議定書案は、2の会合の少なくとも6箇月前に事務局が締約国に通報する。


第29条 この条約及び議定書の改正

1.締約国は、この条約の改正を提案することができる。議定書の締約国は、当該議定書の改正を提案することができる。
2.この条約の改正は、締約国会議の会合において採択する。議定書の改正は、当該議定書の締約国の会合において採択する。この条約又は議定書の改正案は、当該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、その採択が提案される会合の少なくとも6箇月前に事務局がそれぞれこの条約又は当該議定書の締約国に通報する。事務局は、改正案をこの条約の署名国にも参考のために通報する。
3.締約国は、この条約及び議定書の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、当該会合に出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択するものとし、寄託者は、これをすべての締約国に対し批准、受諾又は承認のために送付する。
4.改正の批准、受諾又は承認は、寄託者に対して書面により通告する。3の規定に従って採択された改正は、3の議定書に別段の定めがある場合を除くほか、この条約の締約国又は当該議定書の締約国の少なくとも3分の2が批准書、受諾書又は承認書を寄託した後90日目の日に、当該改正を批准し、受諾し又は承認した締約国の間で効力を生ずる。その後は、改正は、他の締約国が当該改正の批准書、受諾書又は承認書を寄託した後90日目の日に当該他の締約国について効力を生ずる。
5.この条の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。


第30条 附属書の採択及び改正

1.この条約の附属書又は議定書の附属書は、それぞれ、この条約又は当該議定書の不可分の一部を成すものとし、「この条約」又は「議定書」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。附属書は、手続的、科学的、技術的及び事務的な事項に限定される。
2.この条約の追加附属書又は議定書の附属書の提案、採択及び効力発生については、次の手続を適用する。ただし、議定書に当該議定書の附属書に関して別段の定めがある場合を除く。
(a) この条約の追加附属書又は議定書の附属書は、前条に定める手続を準用して提案され及び採択される。
(b) 締約国は、この条約の追加附属書又は自国が締約国である議定書の附属書を承認することができない場合には、その旨を、寄託者が採択を通報した日から1年以内に、寄託者に対して書面により通告する。寄託者は、受領した通告をすべての締約国に遅滞なく通報する。締約国は、いつでも、先に行った異議の宣言を撤回することができるものとし、この場合において、附属書は、(c)の規定に従うことを条件として、当該締約国について効力を生ずる。
(c) 附属書は、寄託者による採択の通報の日から1年を経過した時に、(b) の規定に基づく通告を行わなかったこの条約又は関連議定書のすべての締約国について効力を生ずる。
3.この条約の附属書及び議定書の附属書の改正の提案、採択及び効力発生は、この条約の附属書及び議定書の附属書の提案、採択及び効力発生と同一の手続に従う。
4.附属書の追加又は改正がこの条約又は議定書の改正に関連している場合には、追加され又は改正された附属書は、この条約又は当該議定書の改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。


第31条 投票権

1.この条約又は議定書の各締約国は、2に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2.地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約又は関連議定書の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。


第32条 この条約と議定書との関係

1.いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、この条約の締約国である場合又は同時にこの条約の締約国となる場合を除くほか、議定書の締約国となることができない。
2.議定書に基づく決定は、当該議定書の締約国のみが行う。当該議定書の批准、受諾又は承認を行わなかったこの条約の締約国は、当該議定書の締約国の会合にオブザーバーとして参加することができる。


第33条 署名

この条約は、1992年6月5日から同年6月14日まではリオ・デ・ジャネイロにおいて、同年6月15日から1993年6月4日まではニュー・ヨークにある国際連合本部において、すべての国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放しておく。


第34条 批准、受諾又は承認

1.この条約及び議定書は、国家及び地域的な経済統合のための機関により批准され、受諾され又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、寄託者に寄託する。
2.この条約又は議定書の締約国となる1の機関で当該機関のいずれの構成国も締約国となっていないものは、この条約又は当該議定書に基づくすべての義務を負う。当該機関及びその一又は二以上の構成国がこの条約又は同一の議定書の締約国である場合には、当該機関及びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該機関及びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく権利を同時に行使することができない。
3.1の機関は、この条約又は議定書の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定書の批准書、受諾書又は承認書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の変更で関連するものを寄託者に通報する。


第35条 加入

1.この条約及び議定書は、この条約及び当該議定書の署名のための期間の終了後は、国家及び地域的な経済統合のための機関による加入のために開放しておく。加入書は、寄託者に寄託する。
2.1の機関は、この条約又は議定書の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定書への加入書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の変更で関連するものを寄託者に通報する。
3.前条2の規定は、この条約又は議定書に加入する地域的な経済統合のための機関についても適用する。


第36条 効力発生

1.この条約は、30番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後 90日目の日に効力を生ずる。
2.議定書は、当該議定書に規定する数の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後90日目の日に効力を生ずる。
3.この条約は、30番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する締約国については、当該締約国による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後90日目の日に効力を生ずる。
4.議定書は、当該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、2の規定に基づいて効力が生じた後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する締約国については、当該締約国が批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した日の後90日目の日又はこの条約が当該締約国について効力を生ずる日のいずれか遅い日に効力を生ずる。
5.地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、1及び2の規定の適用上、当該機関の構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。


第37条 留保

この条約には、いかなる留保も付することができない。


第38条 脱退

1.締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日から2年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退することができる。
2.1の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日の後1年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。
3.この条約から脱退する締約国は、自国が締約国である議定書からも脱退したものとみなす。


第39条 資金供与に関する暫定的措置

国際連合開発計画、国際連合環境計画及び国際復興開発銀行の地球環境基金は、第21条の要件に従って十分に再編成されることを条件として、この条約の効力発生から締約国会議の第1回会合までの間又は締約国会議が同条の規定によりいずれの制度的な組織を指定するかを決定するまでの間暫定的に、同条に規定する制度的組織となる。


第40条 事務局に関する暫定的措置

第24条2に規定する事務局の役務は、この条約の効力発生から締約国会議の第1回会合までの間暫定的に、国際連合環境計画事務局長が提供する。


第41条 寄託者

国際連合事務総長は、この条約及び議定書の寄託者の任務を行う。


第42条 正文

アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。


以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。

1992年6月5日にリオ・デ・ジャネイロで作成した。

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